『奨学金代理返還制度』をご存知でしょうか。
これは日本学生支援機構から奨学金の貸与を受けていた従業員の奨学金返済を、
企業が一部肩代わりするという制度です。
個人的に、若者採用に苦労している中小企業ほど導入をお勧めしています。
ニュースでも度々目にするようになりましたが、新卒をはじめ若年層の賃金を
これまで以上に引き上げる企業が増えています。特に大手企業でその傾向が
顕著となっており、中には新卒の基本給を30万円以上に設定する企業まで
出てきています。
中小企業でも高い利益率が出せる企業であれば、若年層に対しある程度高い
基本給設定も可能かも知れません。一方で、労働集約型の業態であったり
頑張っても高い利益率を出すことが難しい企業ですと、これほどの水準の給与
を若年層のために設定するのは難しいでしょう。原資の限られる中で無理に
若年層の給与水準を引き上げれば、その分中間層の給与の伸びを抑制する等
の対応が必要となり、結果として中間層の離職を招いてしまう事態になりかね
ません。人手不足の時代は、残念ながら企業の採用力の差を明確にしてしまいます。
そんな採用に苦労する企業にこそ活用していただきたいのが、この奨学金代理返還
制度です。この制度の活用には以下のメリットがあります。
① 企業が肩代わりする分は非課税となり、所得税や社会保険料の負担を軽減できる
② 支援額を損金算入できるため、企業の法人税負担を軽減できる
③ 賃上げ促進税制の対象となる場合、一定の条件下で法人税控除ができる
④ 一定期間の支援を行うことで、その期間の従業員の就労を定着する効果が期待できる
福利厚生の制度でありながら、従業員の立場に立てば実質的な給与の増額の意味合いが
あるため、大変ウケも良い制度です。
日本学生支援機構の調査では、奨学金の貸与を受けている学生は全体の4分の1にも上り
ます。この制度の導入は、多くの学生または若年層にとって魅力的に映る可能性が非常に
高いものであると考えます。
利用する企業の数も年々増えていますが、まだ多くの中小企業では導入されていません。
社員の募集時にこの制度があることの訴求効果は高く見込めます。
制度概要については、以下のページよりご確認ください。
『企業等の奨学金返還支援(代理返還制度)』・・日本学生支援機構HP