本日は令和7年度施行の雇用保険法改正内容についてです。
令和7年4月1日施行の改正内容については、以下のとおりです。
① 自己都合退職者(正当な理由なく自己都合で退職した者)の基本手当(失業手当)の
給付制限期間変更
これまで、正当な理由なく自己都合で退職した労働者について、基本手当(失業手当)を
受給するためには、原則2カ月間の給付制限期間が設けられていました。今回の法改正により、
5年以内に2回以上退職した方を除き、この給付制限期間が原則1か月に短縮されています
(つまり、給与が翌月払いであった方は、実質的に無収入となる期間がほぼなくなりました)。
更に、退職者が教育訓練給付金の支給対象となる教育訓練を受講する場合には、給付制限そのものを
しないこととなりました。
② 教育訓練支援給付金の期限延長及び給付率の引き下げ
専門実践教育訓練を受講する45歳未満の離職者に対しては、令和6年度末までの暫定措置として、
訓練期間中に基本手当の80%を教育訓練支援給付金として支給してきました。この暫定措置期間を更に
2年間延長(令和8年度末まで)する一方、給付率は60%に引き下げられました。
③ 就業手当の廃止と就業促進定着手当の給付上限の引き下げ
離職者が再就職する際、基本手当の支給開始から再就職までの期間が短い者に対しては、再就職先
との雇用契約に応じて、
「就業促進定着手当(安定した職業に1年以上雇用される見込みの者に対する手当)」と
「就業手当(アルバイト等で再就職する者に対する手当)」の2種類の手当が支給されてきました。
このうち、就業手当については令和6年度限りで廃止されることとなりました。
一方、就業促進定着手当についても、給付上限が40%(再就職手当が支給された場合30%)から20%へ
引き下げられています。
④ 出生後休業支援給付の創設
出生時育児休業、育児休業を取得する雇用保険被保険者に対しては、これまで出生時育児休業給付、
育児休業給付が行われてきましたが、これに上乗せする給付金として出生後休業支援給付が創設されました。
出生後休業支援給付は最長で28日分、休業開始時賃金日額の13%が支給され、これにより出生時育児休業、
育児休業開始直後においては、休業前手取額の全額に近い給付が受けられることとなりました。
⑤ 育児時短就業給付の創設
2歳未満の子を育児する雇用保険被保険者が時短勤務する場合、時短勤務中に支払われる賃金の10%が
給付される育児時短就業給付が創設されました。
以上は既に施行されている内容となります。
そして今年度は10月1日から施行となるものもあります。
【令和7年10月1日施行の内容】
〇教育訓練休暇給付金の創設
雇用保険の被保険者期間が5年以上ある労働者が、在職中に教育訓練の休暇を取得した場合に、
基本手当に相当する給付金を支給するというものです。
給付日数は、被保険者期間に応じて90日、120日、150日のいずれかの日数となります。
10月1日に施行される教育訓練休暇給付金については、企業としても従業員の能力向上を
推進できる機会を提供できることとなるため、積極的に活用していきたい制度ですね。