本日は、令和7年6月11日に改正公布された労働に関する法律の改正内容
についてです。施行日は令和8年4月1日です。
今回の改正内容の主だったものは、次の3点です。
① ハラスメント対策の強化(労働施策総合推進法)
② 女性活躍の推進(女性活躍推進法)
⓷ 治療と仕事の両立支援の推進
① ハラスメント対策の強化について
現在、同法においては、企業に対しパワーハラスメント、セクシュアルハラスメントに対する
相談窓口の設置や、ハラスメントについて相談したこと等に対し、本人に不利益な取扱いを
することの禁止等を義務付けています。
今回の法改正で、これに加え以下の項目が追加されました。
1 カスタマーハラスメント対策
カスタマーハラスメントを「顧客、取引先、施設利用者その他の利害関係者が行う」
「社会通念上許容される範囲を超えた言動により」「労働者の就業環境を害すること」の3要素
をすべて満たすものと定義した上で、事業主に対し、その対策を義務付けています。
具体的な措置の内容は、今後指針において示すとしていますが、主なものとして次の項目を
挙げています。
・事業主の方針等の明確化及びその周知・啓発
・相談体制の整備・周知
・発生後の迅速かつ適切な対応・抑止のための措置
2 求職者等に対するセクハラ対策
求職者等(就職活動中の学生やインターンシップ生等)に対しても、セクハラ防止のための
必要な措置を講じることを事業主の義務として、従来のセクハラ対策に追加しました。
こちらもカスタマーハラスメント対策同様、具体的な措置は今後指針で示すものとして
いますが、セクハラ対策そのものは既に事業主の義務であることから、これに準ずる形
となると思われますが、対象が求職者等であることから、次の項目についての措置も求め
られることとなります。
・面談等を行う際のルール作り
・求職者等への相談体制の整備・周知
・発生後の迅速かつ適切な対応
なお、求職者等に対するセクハラ対策が法に追加されたことに伴い、プラチナえるぼし認定
の要件も、これに対する事業主の防止措置の内容を公表していることが追加されました。
② 女性活躍の推進について
女性活躍推進法は、令和8年3月31日までの時限法であることから、この有効期限を
更に10年延長することとしました。
その上で、情報公開の対象企業とその項目について、以下のとおり変更が行われる
こととなりました。
企業規模 | 改正前 | 改正後 |
301人以上 | 男女間賃金格差に加え、
①「職業生活に関する機会の提供に関する実績」 ②「職業生活と家庭生活との両立に資する雇用環境の整備の実績」 の各項目からそれぞれ1項目以上の計2項目以上を公表 |
改正前の公表内容に加え、女性管理職比率を公表 |
101人以上300人以下 | 上記①又は②の項目全体から、1項目以上を公表 | 改正前に公表内容に加え、女性管理職比率を公表 |
ポイントは、いずれにおいても女性管理職比率の公表が義務とされたことです。
これは、日本企業における女性管理職登用の推進が他国に比してまだ遅れている
現状から変更されたものです。