8月4日に行われた厚生労働省中央最低賃金審議会の答申が公表されました。
最低賃金には「地域別最低賃金」と「産業別最低賃金」があります。
産業別最低賃金は、名称のとおり産業ごとに独自に定める最低賃金のことで、
産業別最低賃金の適用を受けない業種については、都道府県ごとに定められる
地域別最低賃金の適用を受けることとなります。
適用は多くの都道府県で例年10月1日からとなりますが、都道府県により若干
前後する場合がありますので、適用日には注意が必要です。
今回の中央最低賃金審議会の答申結果は、次のとおりです。
都道府県を引き上げ幅の目安に応じてA~Cまで下表のとおりランク分けした
上で、引き上げ額の目安を提示しています。
ランク | 都道府県 | 金額 |
A | 埼玉、千葉、東京、神奈川、愛知、大阪 | 63円 |
B | 北海道、宮城、福島、茨城、栃木、群馬、新潟、富山、石川、福井、山梨、長野、岐阜、静岡、三重、滋賀、京都、兵庫、奈良、和歌山、島根、岡山、 広島、山口、徳島、香川、愛媛、福岡 | 63円 |
C | 青森、岩手、秋田、山形、鳥取、高知、佐賀、長崎、熊本、大分、 宮崎、鹿児島、沖縄 | 64円 |
最終的には、この答申を受けて各地方最低賃金審議会が実際に適用する最低賃金を
決定することとなりますが、これは例年微調整程度の変更に留まるため、今回の
答申結果がほぼ今年度の最低賃金の上昇額と考えて差し支えありません。
この答申を踏まえ、現在最低賃金で働く労働者の給与の支給額にどの程度の影響が
あるか計算してみます。計算は63円の最低賃金上昇を用います。
〇計算の前提条件
1日の所定労働時間を8時間、1年は365日、年間休日110日
(土日、夏季・冬季3日ずつ)として計算
⇒年間所定労働日数255日(365日-110日)
⇒月平均所定労働時間170時間(255日×8時間÷12か月)
170時間×63円=10,710円
次に、最低賃金を基準とした月給制の場合の必要最低月額を計算してみます。
〇東京都の場合(月平均所定労働時間を170時間として計算)
2024年度の適用最低賃金:1,163円+2025年度上昇幅63円
=1,226円
月額最低必要額:1,226円×170時間=208,420円
となります。
最低賃金の対象となるのは、毎月支払われる賃金のうち、以下のものを
除外した賃金です。
①臨時に支払われる賃金(結婚手当など)
②1箇月を超える期間ごとに支払われる賃金(賞与など)
③所定労働時間を超える時間の労働に対して支払われる賃金(時間外割増賃金など)
④所定労働日以外の日の労働に対して支払われる賃金(休日割増賃金など)
⑤午後10時から午前5時までの間の労働に対して支払われる賃金のうち、
通常の労働時間の賃金の計算額を超える部分(深夜割増賃金など)
⑥精皆勤手当、通勤手当及び家族手当
最低賃金の改定の際、時給の方は賃金を改定しても、月給制の方の時間単価の確認を
漏らしている会社さまは意外と多いため、自社の労働時間から計算した必要最低月額は
必ず確認するようにしましょう。